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仙台にて(16) [地震]

「何が出来るか考えよう」と連呼されていますが、身辺に影響が及んでおらず通常通りの活動が可能な人は、落ち着いて普段の仕事をこなすことが第一歩だと思います。
その上で具体的に聞こえてくるニーズを吟味して、慎重に対応する必要があると痛感します。
自分勝手な判断でやみくもに動くと、混乱を深めてしまう可能性があります。

「見物人」増加で規制…亘理町が通行証発行

  ガソリン供給や道路事情の改善で東日本大震災の被災地への交通アクセスが改善されるにつれ、被災地への“見物人”が増え始めている。行方不明者の捜索やがれき撤去の妨げになるケースもあり、宮城県亘理町は被害が大きい地域に入る車両を規制することを決め、町長が発行する通行許可証を5日から被災者に配り始めた。

 県南部の亘理町は震災で死者238人、行方不明54人の被害(4日現在)を受けた。町災害対策本部によると、津波で住宅が流されたり、海岸から離れた場所に漁船が漂着するなど無惨な姿の被災地に県外ナンバーの車で乗りつけ、騒ぎながら写真を撮ったりする人が最近になって徐々に目立つようになった。

 先週末には、がれきをよけてようやく1車線分が確保された道路に、こうした車が数珠つなぎになる光景も見られたという。中には県外から駆け付けた被災者の親類などが交じっている可能性もあるが、防犯ボランティアが身元や目的を尋ねると言葉を濁して立ち去る人が多いという。

 町内では自衛隊や他県からの消防応援など計300人以上が行方不明者を捜索しているが、災害対策本部によると「捜索しようとしても、撤去したがれきを運ぶダンプカーが渋滞に巻き込まれてしまう。3分で行ける仮処分場まで30分かかることもある」という。

 そこで独自の通行証3000枚を急きょ作成。避難所などで配布したうえで、被災地に通じる道の主要ポイントでチェックすることにした。担当者は「手間は増えるが、一刻も早く一人でも多くのご遺体を見つけ、復興につなげるために理解してほしい」と話す。【丹野恒一】

毎日新聞(4/5 20:15)

この記事で取り上げられている全てが物見気分の人だとは思いません。「とにかく現場に行けば何かできるだろう」と思いついたのでしょう。でも、この記事のような影響が及んでしまうのです。

物流がマヒしていると聞けば、知り合いに何らかの形を届けたいと思う気持ちはわかります(現在の仙台市内に関しては、物流はずいぶん改善されています)。しかし、バラバラと個別な動きで流通路にさらなる負荷をかける必要がある物かどうかを落ち着いて考えてから行動した方が良いと思います。
現地はそれなりにやることがあって忙しい。散らかった家財を片付けなければならないし、蛇口から水が出なければ外へ行って給水の列に並んで水を入手しなければなりません。スーパーには朝から出かけて並んでいないと買い物が出来ない状況でした。
そのような用事をかき分けて運送会社の営業所へ出向いたり、家を留守にしないようにして待っていたりして受け取った荷物が菓子折だったなんて話は、少し落ち着いた今でこそ笑って聞いていられますがぼくの身に起こっていたら頭を抱え込んだことでしょう。


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仙台にて(15) [地震]

昨日(5日)にわが家でガスが使えるようになりました。
近所でのガス管補修の影響で管の中に空気が入り込んでおり作業に少し時間がかかりましたが、「静岡ガス」の若い技術者さんがプロフェッショナルな仕事の流儀で火を使えるようにしてくださいました。関係者のみなさん、ありがとうございました。
仙台市内では半数を超える世帯でガスが使えるようになった段階とのことです。引き続きよろしくお願いいたします。

ガス開栓作業が予定されていたので(毎日発表されるガス局の作業予定地域は、仙台市民必見の情報になっています)、昨日は家を留守にしないようにしていました。
わが家の周辺のように深刻な影響が及ばなかった所では、子供たちが退屈してきているのかなと感じました。
少し長い春休みを強いられてしまいましたが、買い物や遊びに出かける所はないし、学校は避難所や給水所になっていたので校庭を使うわけにもいかなかったでしょう。
彼らなりに我慢しているんだろうなと思います。

仙台市内の学校は多くが11日の月曜日に再開を予定しています。
始まっても落ち着かないことが多いでしょうし、わが家の近くにも地滑りで校舎が使えなくなった小学校があります。
学習の遅れを心配する保護者もいるようですが、彼らは通常の学校活動とは別の部分で、色々なことを見聞きし経験したはずです。
それがマイナスに向かないように、見守って手助けすることが大切なのだと思います。


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仙台にて(14) [地震]

日付が変わって昨日(4日)になりましたが、仙台にて(10)で書いた場所に電車が走り始めました。

405.jpg 

これでバスの混雑がかなり解消されますし、時間がある時は(駅まで少し歩かなければならないので)電車を選択することも出来ます。

とても助かります。


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仙台にて(13) [地震]

仙台市内の水道は、津波が来て影響が甚大だった沿岸部と地割れなどで避難勧告が出ている街区を除いて通水が再開され、応急的な給水活動は先月末で終わりました。
復旧工事、給水活動に力を注いでくださったみなさん、本当にありがとうございました。

一方で、救援に駆けつけてくださった方の中で起きるべきではない事が生じてしまいました。

岩手に震災派遣 旭川の陸曹長が死亡

 陸上自衛隊第2師団(司令部・旭川)は1日、東日本大震災で被災した岩手県北部の沿岸地域に派遣されていた同師団第2特科連隊(旭川駐屯地)の50代の陸曹長が体調を崩し、同日死亡したと発表した。

 第2師団によると、陸曹長は3月12日から派遣され、行方不明者の捜索やがれきの撤去に当たっていた。31日朝に体調の異常を訴えたため盛岡市内の病院に搬送され、救命処置を受けていたが、1日午前11時半ごろ、死亡が確認された。死因は確認中。

北海道新聞(4/2) 

送り出していただいたご家族・関係者の方々にお悔やみを申し上げたいと思います。

「がんばろう」と大合唱が続いていますが、どうか無理矢理がんばらないでほしいのです。
力を貸す側は、自らの身を守る事が大前提なのだと再確認してください。

そう言い切ってしまいたくない感情はありますが、一分一秒を急がなければならない面は小さくなっていると言わざるを得ません。先の長い取り組みをコツコツと重ねていきましょう。
疲れたなと思ったらゆっくりと休息してください。

ぼくにも個人的に似たような経験がありますが、仲間内に事故があると活動が萎縮するというのか、意気が上がらなくなってしまいます。
活動グループを統括している方は、それぞれのメンバーの体調に改めて目を配ってください。


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仙台にて(12) [地震]

3週間が経ちました。

3週前の今時分は、明かりもなく暖もとれない中で、とりあえず家に残っていたパンを囓っていました。
仙台にて(8)で書いたようにラジオではリアルタイムの情報が把握しにくく、沿岸地域で何が起きているのかもよくわからないまま、ひょっとすると夜遅くに電気が回復するかもしれないとすら考えて何をどうすべきか決められず不安定な時間を過ごしていました。

良い記憶として残っている事は、星空がきれいに見えた事。
東北の広域で人工的な光を失っていたのですから。
オリオン座が見えていましたが、その周辺にあんなに多くの星が光っていたのかと驚きながら眺めていました。

今後ぼくがあんな星空を見上げる機会は、あまり無いのかもしれないなあ。


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仙台にて(11) [地震]

今朝の新聞に、地震後初めてチラシがはさまっていました(1枚だけで、壊れた車の相談に乗ると言っているのか中古車を売ると言っているのかよくわからない内容でしたが)。

少し前のようにガソリンが全く入手できない状況は脱しつつあるのか、道路に車が多くなってきたように思います。
それでも営業していないガソリンスタンドが少なくないし、店を開けているスタンドにはとても長い車列が出来ています。

ぼくは前から車を持たず、鉄道やバス、自転車、徒歩で移動していたのですが、ここしばらくは徒歩や自転車のお仲間が多くなって心強く思っていました(この様子もそろそろ終わりに近いのかも知れません)。

ただ、運転免許を持っていると思われる人でも自転車での走り方は無謀な人が多いですね。
自転車は車両ですよ。歩行者を蹴散らすような勢いで歩道を通行してはいけません。
道路上ではキープレフトです。
幅の狭い道路の右端を、対向車の風にあおられながらフラフラと自転車にまたがっている本人こそがいちばん怖いと気付きそうな気がするのですが…。


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仙台にて(10) [地震]

今日の仙台は冷たい風が強く吹くものの、晴れて日差しが注いでいます。ときおり雪がちらつきますが、風で運ばれてきたにわか雪で路面も濡れない程度ですむでしょう。

慣れとはみごとなもので、多少の余震はほとんど気にならなくなってしまいました。
初発直後は服を着たままいつでも飛び出せるような身なりで寝ていましたが(暖が取れなくて寒かったせいでもある)、今は違います。

こういう慣れはよくありませんね。大きな余震の可能性も言われているので、注意力を取り戻さないといけません。

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これは近所のJR仙山線の線路。ここに電車が走らなくなって半月が経過しました。
レールには赤いサビが浮き出ています。
m272.jpg
少しさびしいような気もしますが、さにあらず。
明日28日には仙石線の一部、仙台市内の地下走行部を中心とした区間の営業が再開されます。仙台駅に乗客が戻ってきます。
仙台市営地下鉄も地下走行部が地震の3日後である14日に復旧しています。地下に敷いた軌道は影響が少ないのですね。
仙山線も再開のめどが4月上旬と発表されているので、あと10日もすれば電車の音が響くことでしょう。


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仙台にて(9) [地震]

とっても小さな事なのですが、今回の災害の呼び方がそろそろ何かひとつに収斂しないのかな。
書類に書き込む時に迷ってしまいます。
公的な書類では、仙台市役所が言っている「東北地方太平洋沖地震」が適切かな。
他のものと混同するおそれはないから、まあどうでもいいか。

海江田経産相が圧力発言陳謝 「事実の混同ある」

 福島第1原発での放水作業を巡り、政府関係者が東京消防庁のハイパーレスキュー隊幹部に、早期に放水を行うよう圧力をかける発言をしたとされる問題について、海江田万里経済産業相は22日の閣議後会見で、「私の発言で消防関係者が不快な思いをされたということであれば、おわび申し上げる」と述べ、陳謝した。

 ただ、海江田氏は、「言った、言わないということをここで言うべきではないと思う」と述べ、事実関係は明らかにしなかった。さらに「かなりの事実の混同がある」と加えた。

 問題の発言は、政府関係者が消防関係者に対して「(放水を)速やかにやらねば処分する」と述べたとされるもので、石原慎太郎東京都知事が21日午後に菅直人首相に会って抗議。菅首相が陳謝していた。【増田博樹】

毎日新聞(3/22) 

実際のやりとりを知るすべはないので大変乱暴な言い方になってしまうかもしれませんが、方向性としては間違っていないとぼくは思います。
深刻な事態が時々刻々と進行している最中に打つべき手段があると判断したら、それが早急に実現するように努めるのがリーダーの役割でしょう。
組織の違いとか指揮命令系統の仕組みとか、役所の理論を優先させて時間を浪費している場合ではないのです。
こういう時に権力を振るわずして、いつ権力を振るうのですか。

これまでの間、「○○法に基づいて」と官僚の発想の範囲内でしか決断できない現政権にあって、こんな例外もあるのだと認識しました。

政府の責任で孤立させた地域(→仙台にて(2))に対して、今ごろになって「自分の判断で避難する方法もありますよ」というメッセージですか。
賢い官僚が考えそうな、姑息な対応です。
命令に従って住まいを離れる人と各自の判断で勝手に住まいを離れる人とでは、補償の仕方が変わってきますからね。

忘れないように書きとめておいて、後でゆっくりと考えてみることにします。


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仙台にて(8) [地震]

停電が続いていた3日間、ラジオに耳を傾けていました。

NHK仙台放送局は独自の情報発信をがんばって続けていました。
その使命感は良く理解できるし敬服に値するものだと思います。
ただ、平常時に準備していた「落ち着いて行動してください」等々のくり返しが多く、リアルタイムの情報が得にくかったように思っています。

・鉄道が止まっている
・浸水している地区
・余震の震源、規模、震度
・余震により新たな津波発生の可能性がある
・仙台市役所災害対策課職員の電話インタビュー
などの情報は時折切り替わる東京からの音声で知らされました。

その事情は痛いほど理解できます。自らも被災し情報入手の手段は途絶してしまい、大混乱だったに違いありません。

使命感もわかるし、事情もわかる。
だからこそ、「情報は現地にあるはず」という先入観を捨てて、勇気を持って発生から数時間のうちは東京からの音声に多くの時間をゆだねても良かったのではないかと思います。
仙台にて(3)で書いたことと逆の内容になっているかもしれませんが、地震発生からの経過時間によって変わってくると考えます。

一方で、記者やアナウンサーの方が徒歩や自転車で放送局の周囲を見て回り、様子をリポートしてくれたのはとても参考になりました。
また、杉尾さんというアナウンサーの方が、自らの体験も含めて(報道口調とは違う)静かな口調で話し始め、「みなさんこういう時こそ協力し合って、必ずやってくる朝を待ちましょう」と語ってくれたのには心を動かされました。NHK的ではないのかもしれませんが、とても良い放送でした。

仙台には外国の方が多く暮らしています。
ラジオでは12日未明になって英語、ハングル、中国語での情報提供を行う電話番号を案内する英語の音声が流れ始めましたが、電話が使いにくい状況も生じていました。
今後の課題として、外国語で語る人の準備も必要ではないでしょうか。最低限英語での案内があれば良いと思います。各放送局内に話せる人材はいるでしょうし、役所の国際交流課などから駆けつけてもらうようあらかじめ取り決めておく方法もあります。


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仙台にて(7) [地震]

コップ1杯の飲用水が貴重。外に出れば何をするにも気温の低い戸外に時間単位で行列し、スーパーなどは店内に入れたとしても、空の陳列棚が並んでいて野菜や果物はびっくりするような高値が付いている。そして10日以上経過しても、このような状況が好転するきざしが感じられない。
こういう非日常の生活を続けていて心の余裕が無くなっているからなのでしょうか、東京方面から発せられる次の言葉に違和感を感じています。

「被災地のために節電しよう」

茨城や千葉をはじめとする北関東の被災地を指しているのでしょう。
蓮舫節電担当大臣まで、震災の復旧と節電を結びつけるかのような声明を出しているので誘導されても仕方ないのかもしれません。

純粋に善意と連帯の気持ちからの言葉だとはわかっています。
でも、ゆっくりと考え直してみましょう。
福島で運転が止まっている原発や火発は『東京電力』の設備です。
東京電力の配電地域内のホテルや旅館を総動員して、福島県の人たちにゆっくり暖かい場所で休んでもらうくらいの取り組みがあっても良いと思うのに、福島と聞いただけで忌避する行動があると聞こえてくるので憤りをおぼえてしまうのです。
「福島第1原発から約200km離れた東京でも」との報道に、東京が外部からの災難をこうむっているかのような意識を感じてしまっています。

電力に関しては東京電力が計画停電を実施しているさなかでも、福島・新潟以北の本州を担当する東北電力は給電を続けています。27日までは停電しない予定とアナウンスされています。

節電を『被災地のため』ではなく自分たちが当事者である課題なのだと気付いて、根本的なライフスタイルの見直しや、可能な場合は企業活動の関西方面への移転を今すぐ真剣に考えはじめるべきです。このままでは、数ヶ月後に東北地域から可能な限りの電力をまわしても混乱を避けられないかもしれません。


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