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美味しい思いをしたのは… [放射脳]

『美味しんぼ』とかいうマンガが世間を騒がせているようだ。

今更ながらに「福島で鼻血が…」とか「がれき焼却で健康被害が…」などと言っている人たちの『痴的水準』の高さにはほとほとあきれてしまう。

だが『世間を騒がせている』時点で、出版側の思惑通りではないかと思う。
宮城の新聞記事から一部だけを引用しよう。

 福島県内の反発拡大 抗議声明も 「美味しんぼ」被ばく発言

(略)

 福島市内などの書店やコンビニエンスストアなどでは軒並み、12日発売号が売り切れた。
 県庁近くの西沢書店大町店では前日までに購入予約が相次ぎ、12日昼までに完売した。同書店の担当者は「話題になっていることもあり、すぐに売り切れた」と話した。

(略)

河北新報 5.13

ほらっ、出版社の思うつぼ!

今年の年明け早々に日豪プレスというサイトにこの作者のインタビュー記事が載って批判が殺到した経緯があるのだから、現在のような騒ぎになることは出版側も想定内だったはずだ。

ちなみにこのインタビュー記事には、

--東北地方の海産物の多くを今後食べられなくなる可能性も。 
雁屋「恐らく食べられなくなるでしょうね。どうしようもない、とんでもない被害ですよ。山の幸も川の魚も…」

という記述があるから、東北の陸地、川、海で生産された食物全体が危険だというのがこの人の信念なのだろう。

どんな主張が世に問われても良いが、受け手がきちんと判断を下して、とんでもないことを言っている作者・出版社は静かに世間から軽蔑される社会であってほしい願っているが、そんな期待はこの日本には重すぎるのかもしれない。

今度ばかりは大臣なども批判のコメントを出しているようだが、これも「今更ねぇ」という気がする。「京都の送り火に岩手の松を使うな!」とか「沖縄に青森の雪を持ち込むな!」なんて騒ぎがあった頃に毅然と効果的な対処をした政治家がいたならば大いに評価するんだけど、見当たらなかったよ。
それにこの手の『痴的』な人たちは、大臣などから批判されるとますます快感を覚える人たちですよ。

「風評被害を拡大させる」のはその通りなんだけど、東北で食べ物ビジネスを続けたいと考えている者はそんな風評におびえていても仕方がないという所まで追い詰められていますよ。
そういう『痴的』な人たちが決して少ないとは言えない比率で存在し、それはずっと存在し続ける世の中なのだと認識した上で、それを乗り越える努力を重ねなければとっくに全滅している。
この『痴的』な活動の影響は海外にも及んでいて、外国でも産地が原因で忌避されるという苦い経験もしている。

さらにマンガだけを叩けばいいってものでもないだろう。
同様のことを公言して今なおお盛んな大学教員、ジャーナリスト、国政政党等々たくさんいるじゃないか。
以前のエントリーでも言及したが、「大阪でがれき焼却が始まったから心臓がひっくり返った」と大ボラを吹いて参院議員になった男もいる。
『頭狂』…じゃなかった『東京新聞』はこの騒動に関連して、
 <確かなのは「分からない」>
 <被害隠し図る国と県>
 <美味しんぼ批判 行き過ぎはどちらだ>
などと見出しを打って、マンガに同調する姿勢を示している。

根本的な対処は出来ずにモグラ叩きのようなことをしていてもさほど意味のあることではないと思う。


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不可解な『がれき訴訟』 [放射脳]

今週、宮城県では次のようなニュースが報じられた。

 北九州がれき訴訟、県への訴え取り下げ

 石巻の震災がれき受け入れに反対する福岡県の市民団体が宮城県などを訴えていた訴訟で動きです。
 この市民団体が、県への訴えを取り下げる方針であることがわかりました。
 この訴訟は石巻市の震災がれきを北九州市で処理することを巡り、精神的苦痛を受けたとして北九州市の市民団体が宮城県と北九州市対し、原告1人当たり11万円の損害賠償を求めているものです。
 県では石巻地区の可燃廃棄物の量を精査し、3月末で北九州市での処理を終了することにしています。
 これを受け、市民団体では4月にも宮城県への訴えを取り下げる方針であることがわかりました。
 原告側の弁護士は取り下げの理由について「がれきの搬入を止める目的は達したため」と話しています。

東北放送 (2013.3.12)

他の報道を確認してみようと探してみたけれど、報じているのはこれだけのようだ。いや、東北放送を信頼していない訳ではなくて、これだけではどういうことなのか理解できなかったのです。

本気で健康被害を心配していたのだとしたら、今月いっぱいで処理が終わるからといって『精神的苦痛』が無くなるんだろうか? 焼却処理が半年ほど続けて行われたのだから、今後も心痛は続くんじゃないのかなぁ。
山本太郎の母親は心臓がひっくり返っちゃったし、新潟県知事は人が死ぬと言っているよ。

どういうことなのかわからない。
結局、けがれが持ち込まれているという雰囲気が気に入らなかっただけなのかな。搬入が止まった後は、塩でもまいてお浄めすればスッキリするのかな。

「岩手・宮城県内で燃やすのならば安全だ」「被災地の人間は丸々3年間がれきと一緒に暮らすべきなのだから広域処理の必要は無い」との主張は、東京新聞の書くことと共通している。

弁護士が「がれきの搬入を止める目的は達したため」と話しているらしいが、訴訟の内容は「オレたちにカネをよこせ!」ということだよね。
ますます、何が何だかわからない。

ニュースでは『北九州市の市民団体』と表現されているが、ここには注意が必要だ。
間違いではないんだろうが、「長年住み慣れた北九州のことを考えたい」という人物なのかどうか。

弁護士とか提訴時の記者会見で真ん中に座っていた女性(選挙に出て残念な結果だったらしい)とか、2011年3月上旬までは北九州市民じゃなかったみたいだよ(東京電力の電気をふんだんに消費して快適な暮らしを享受していたのかもね)。


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東京新聞(2) [放射脳]

<前エントリーから続きます>

「そもそも広域処理は必要なかった」という趣旨のことが書かれている。この記事の主論はここにあるのだろう。

津波被害にあった地域に思いをはせる姿勢が、この新聞記者には皆無なんだな。

もし仮に日本中から可能な限りの協力が得られて、前政権がなんとなく設定したデッドラインよりも1カ月でも、1日でも早くがれきが片づくとしたら、それは困った事態だとお考えだろうか。
東京新聞が嫌悪しているらしいゼネコンは、期限いっぱいまで処理を請け負う予定だから早く仕事がなくなると困るかもしれない。
でも、地元の人たちにとって大事なことは、2014年3月31日に処理を終える事ではなくて、少しでも早く片付けて次のステップに進むことなんだ。
少量であっても試験的にと処理を引き受けてくれた自治体もあるが、それらに携わった人たちの苦労を『必要なかった』行為と斬って捨てる神経が理解できない。

このブログで、最近になっても震災がれき処理にいちゃもんをつけるメディアとして〈週刊金曜日〉と〈東京新聞〉を取り上げた。これらのファン層は、『人権』とか『護憲』とかの言葉が好きな人たちだ。
2年経とうとしているのに、こんな論説を批判して修正することもなく嬉々として媒体を買い支え続けている。
正体はよくわかった。
上滑りな言葉だけを後生大事にして机上で生息していてください(街頭デモもお好きかな)。
現場で生きるぼくたちは、そういう人もいる世の中だと踏まえた上で、できることをやっていくよ。


最後にくだらない見方だと思いつつ、書いてしまうけど…。
 〈東京〉新聞って関東で発行されている新聞だろ。
「〈東京〉電力がまき散らしたけがれは東北に封じ込めろ!」と主張することにためらいはないんだろうか?

自分のウンコを町内にまき散らしておいて、その汚れも含めて町内会が公園の掃除をやろうとしたら、それを高みから見下しながら「手伝ってはいけない」とか「無駄遣いだ」とか「オレの敷地にウンコのかけらを持ち込むな」とか声高に叫び、「いや、アンタの庭もかなり汚れてますけど」と笑われているモンスター隣人、みなさんの町内で見かけたことがありますか?


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東京新聞(1) [放射脳]

がれき激減で、広域処理の大半が3月末で終了

 宮城、岩手両県の震災がれきを被災地以外で処理する「広域処理」の大半が、来月末で打ち切られる。必要量が当初の推計の6分の1にまで激減したためだ。受け入れ先では放射能汚染への不安にとどまらず、税金の無駄遣いが指摘され、北九州市などでは訴訟にも発展した。大阪では警察の介入が問題視された。東北の地元にも反対意見が強く、旗振り役の環境省は早期撤退に追い込まれた形だ。 (佐藤圭)

東京新聞(2013.2.11)

がれき広域処理に関する記事が東京新聞に掲載されたと聞いていたのだが、ネット上ではお金を払わないと上記部分しか閲覧できないので、図書館に立ち寄って見せてもらった。見開き2面にわたる大きな記事だ。取材にじっくり時間をかけて一つのテーマを掘り下げる意図のコーナーなのかな。

例によって、岩手・宮城県内でがれき処理が進行することを歓迎しつつ、広域処理に反対する論調だ。発災からちょうど23ヶ月目の日に掲載された記事なのに、東京の新聞記者はまだこんな認識なのかとぼくはあきれてしまう。

まず、この記事に対しては日本報道検証機構という団体が主見出しの事実関係について疑問を呈している(「がれき広域処理、大半3月末終了」 実際は一部だけ)。
『大半』『一部』という語が具体的に限定できないから、議論は収束しづらいと思うが、「広域処理は来月でなくなるんだ」と読み取った読者がいたとしたら、間違いであることは確かだ。

「放射能汚染への不安」「焼却により放射性セシウムが漏れる」「放射能拡散」と記述があるが、
・焼却炉にセシウムが投入されることを恐れるなら、震災がれきよりも自分の排出するゴミの処理を考えなさい
・放射性物質を今ある場所から動かすなと言うのであれば、首都圏で生じた焼却灰を域外に持ち出すことをやめなさい
と以前からの助言を繰り返すしかない。

『森の防潮堤構想』 に関して長く記述されているので、少し考えてみたい。
有機物を埋めてしまうとやがて腐朽して地盤がスカスカになる点までは見解に相違がなくて、木を植えておくことで根が太ってその隙間を埋めて地盤を強化するという説だけど、そうなるだろう、そうなることを期待したい、という域を突破する材料が今ひとつ欠けているように思う。
津波が山のすそまで押し寄せて、立木を根こそぎ倒し斜面を削った映像を誰もが見ただろう。「あそこまで津波が来たのね」とわかる痕跡が残された現場が方々にある。だからこそ、震災がれきと呼ばれる物の中に倒木があれほど多く含まれているんだ。
次に津波に襲われた時にあっさり決壊する堤防を作ってしまうおそれを、少しでも小さくしておきたいんだ。

また、この構想に関しては、「宮城県議会は超党派で異議」と小見出しが打たれて、「59名の県議全員による推進議員連盟」が実施を強く求めたのに県執行部がそれを握りつぶしたかのように記述されている。
宮城県議会議事録を『森の防潮堤』で検索した最新のやりとりを引用してみる。昨年9月20日の定例会における議論だ。

◆四十二番(藤原のりすけ君) 改革みやぎを代表いたしまして、質問をさしていただきます。
             (略)
 植物生態学者である宮脇昭氏の、いのちを守る森の防潮堤構想は、震災によってできた大量の瓦れきの山の中の毒と分解不能なもの以外を有用な地球資源として活用しようとするものであり、その考え方を勉強しようということで、議員連盟もできています。野田政権も、みどりのきずな再生プロジェクト構想を発表しました。問題は、無害化された再生瓦れきの認識です。環境省は、天然の木材の中で、自然木・丸太は自治体による埋設可否の判断を経て埋設可能としていますが、木片や枝葉などは、メタンガス、硫化水素ガスなどの発生のおそれがあるとして認めていません。加工木材についても同様のおそれに加え、有害物質の付着や六価クロム、砒素などの混入を懸念し、認めていません。
 これまでの知事答弁は、一、対象とする津波外力を確実に防御できる強度を保つためには、盛り土構造に加えコンクリートブロックで被覆することが必要である。二、木質系瓦れきを盛り土材として利用するのは、メタンガスの発生や発熱による自然発火のおそれなどがあるとともに、不等沈下などの問題がある。三、木質瓦れきは廃棄物なので、それを埋設する場合は処分場という位置づけになり、地下に水が浸透しないようにゴムなどの措置をして、その上でガスなどが出てきた場合のガス管を設置するなどの処置をしなければならないというものです。
 これらは、現行廃棄物処理法上の問題なのでしょうか。そうであれば、改正を国に働きかけるなり、特区申請をすればいいということになります。あるいは、科学的知見から来るものなのでしょうか。科学的知見から県民の生活環境に問題ありとするものなのでしょうか。そうであれば、実際問題として、これらの課題を乗り越えることは難しく、いのちを守る森の防潮堤構想は難しいという結論になります。知事のお考えをお聞かせください。
             (略)

◎知事(村井嘉浩君) 藤原のりすけ議員の代表質問にお答えいたします。
             (略)
 東日本大震災で発生した倒木等の自然木、木くず等の活用につきまして、六月に環境省から考え方が示されたところであります。この中で、自然木の丸太につきましては、一定の条件のもとで盛り土材として埋設しても差し支えないとされたところであります。一方で、細かな木くずなどにつきましては、腐朽によるガスの発生や火災の発生等の懸念があることから廃棄物であると判断され、最終処分場以外の場所に埋め立てを行うことは認められておりません。更に、国土交通省がまとめました東日本大震災からの復興に係る公園緑地整備に関する技術的指針等におきましても、腐朽によるガスの発生、不同沈下、陥没などの問題点について指摘されているところであります。
 このように、生活環境の保全の上からも、また、技術的な見地からも、細かな木くず等を防潮堤の盛り土材とすることは困難であると考えております。
             (略)

どう感じるだろうか。東京新聞の描く構図とは違って、ちゃんとかみ合った質疑が交わされているとぼくは思う。

<長くなってしまったので、続きは別エントリーにする。>


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漠とした既視感 [放射脳]

前回のエントリーで、セシウムを34と24 Bq/kg含む焼却灰を生じる廃棄物処理を、『殺人』と表現する新潟県知事について批判的に書いた。
だが、このレベルのセシウムで住民の健康に影響が出ることは、その方面のマニアの人々が確認済みだったらしい。

大阪市では2月から岩手の震災がれきの焼却が始まった。
焼却灰中のセシウム濃度は、震災がれき混入前(2012.11.22)の15 Bq/kg から混入後(2013.2.4)は19 Bq/kg に変化したと大阪市は報告している

この微小な変化の影響でこうなっちゃった。

 taro.jpg

困った人だなぁ。
ツイッターなんかやってないで早く病院へ連れて行けよと思うけど、病院に近づきたくない都合も想像できる。
レントゲンやCTスキャンなどを一切行わないと約束してくれる病院を誰か紹介してあげてください。

・「このままでは深刻な厄災に陥るぞ、真理を知れば救われる」と唱えて信奉者を集める。
・「世間に出回る食物には毒が入っている」と信者食の普及に努める。
・自分たちはピュアだから厄災の影響がいち早く現れ体調がすぐれないと訴える。
・仲間うちの集会では熱心な支持があることから、世直しをすると選挙に出て落選する。
・ますます内にこもって、都合の悪いことの原因を外に求める。

以前見たことのある光景だなとぼくは思ってしまう。
「厄災が起きるに違いない」という主張から引くに引けなくなって、「我々が厄災を起こすべきだ、それが救済だ」と変転してほしくないなと思う。
大規模な施設で毒ガスを作って、それを複数の地下鉄内で同時にまくような組織力はないだろうとは思うが…。

「大阪の瓦礫焼却が始まり母の体調がおかしい」なんて言い出すのは明らかに常軌を逸しているよ。
この山本太郎という人物とは、国会議員・自治体首長・学者・医者・ジャーナリスト・文筆家・音楽家等々の人たちが親しくしているようじゃないか。
ほんのふた月前には、東京都杉並区に71,000人の支持者がいたことは、記憶に新しい。
きちんと話をして軌道修正を図ってやろうという人が、誰かひとりくらいいないんだろうか。

外部からの異論には耳を貸さないんだから、教団内で良い道を探ってほしい。


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新潟県知事 [放射脳]

ども、ワタクシ、震災がれきの焼却灰で死ぬことになっている、宮城県在住者です - 新潟県知事の見解では。

がれき埋め立て、知事「殺人に近い」 柏崎、三条市は作業継続 /新潟 

 東日本大震災で発生したがれき(木くず)の本格受け入れと埋め立てを柏崎、三条両市が始めたことに対し、泉田裕彦知事は14日の定例記者会見で「健康被害を受ける人が出ると傷害。それによって亡くなれば傷害致死と言いたいが、分かっていてやったら殺人に近い」と強い表現で批判した。これに対し会田洋・柏崎市長は「感想はありません。粛々と(がれき受け入れによる)被災者支援を進めます」。三条市は「市長が海外出張中でコメントできない」とした。

 両市は共に12日に本格受け入れを開始。柏崎市は13日、三条市では14日から、最終処分場で焼却灰の埋め立て作業を始めた。泉田知事は12日に「焼却灰をずさんな管理で埋却を進めることは将来の世代への犯罪行為と言わざるを得ない」と批判する文書を公表した。14日は記者から文書の「犯罪行為」について説明を求められた。

 柏崎市と三条市はそれぞれ、年間約2万4000トン、4万5000トンのごみを焼却処分している。これら日常ごみの焼却灰も、放射性セシウムを含んでおり、濃度は1キロあたり約20〜80ベクレルだ。

 これに対し両市が受け入れる震災がれきはそれぞれ計約110トンと145トンで、年間焼却量の数百分の1。昨年の試験焼却で測定された灰1キロあたりの放射性セシウム濃度は、約34ベクレルと24ベクレルで、日常ごみの灰と同程度だった。

 両市はこうしたデータから「がれきの焼却灰は放射性廃棄物でなく一般廃棄物だと認識している」という。

 県の担当課職員は知事発言について「こちらとしては言うべき言葉がない。担当課レベルではなく知事のお考えだと思う」と困惑を示した。【宮地佳那子、高木昭午】

毎日新聞 (2013.2.15)

110トンと145トンの処理について、新潟県を代表する人物が『殺人』という言葉を使っているのだから、その1万倍以上の量のがれきが処理されている宮城県に住むぼくは間違いなくまもなく死ぬだろう。

10年くらい経ったら、元気な姿でこの人にごあいさつに行きたいなぁ。
「いやいや、オマエはこれから死ぬんだ」と言われちゃうのかなぁ。
そりゃ、いつかは何らかの原因で死ぬんだけどねぇ。


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予想通りに騒ぐ『週刊金曜日』 [放射脳]

ぼくはこのブログの3月の記事で、「今年の暮れ頃には『週刊文春』か『週刊金曜日』で (震災がれきの) 焼却処理が原因で病気になった人の記事が掲載されるんだろう。」と予想したが、その通りに騒いでいるから却ってびっくりしてしまう。
(病気発見には至らなかったようだが。 → 最新の研究ではセシウムの影響で円形脱毛症を発症する事例も見つかったようだから、そういう人を探し出せばもっとセンセーショナルな記事になったのにね。残念!)

東北被災地がれき焼却地の秋田県横手市で--子供どもたちの尿からセシウム

 この九月から東北被災地のがれき焼却が始まった秋田県横手市で、一一月に尿検査した四人の子どもからセシウムが検出された。このため、がれき焼却に反対している地元住民の不安が高まっている。

 横手市は、市内の「東部環境保全センター」などで岩手県野田村から搬入したがれき(今年度六六〇トン。来年度は未定)を今後二年かけて焼却。だが、住民から(1)なぜ周囲に学校・保育園が接する同「センター」を選んだのか(2)岩手県ではがれきの県内処理が可能なのに、受け入れる必要性がない(3)放射性物質を外に出さない割合が不明だ――などの批判が出ていた。

 だが、市側は「安全」として焼却を強行し、不安を感じた親が一一月、山形市で尿検査を実施。その結果、微量ながら五歳の男子から〇・〇九五、四歳の男子から〇・一各ベクレル/kgのセシウム137が検出された。市のがれき焼却灰の「放射性物質測定結果」では、一〇月の時点で同「センター」など二カ所で一二~四二ベクレル/kgのセシウム134・137が測定されている。

 だが、五月の段階でも尿検査した八歳の双子の男女から〇・一ベクレル/kgのセシウム137が検出。さらに焼却直前に検査した一三歳の女子から〇・一、四歳の女子から〇・〇七五各ベクレル/kgのセシウム137が検出された。このため、がれき焼却との因果関係は今のところ不明だ。双子の母親は「市ががれき焼却を始めると聞いて、焼却後の比較ができるよう事前検査した。ところが焼却前と後で計六人の子どもたちからセシウムが検出され、何が原因かわからず、とても不安だ。行政は尿検査を実施し、住民の健康状態を調査して対処するべきだ」と語る。

 これについて市の生活環境課は、「市内の医師と相談し、通常の健康診断で十分とのことだった。今後、尿検査など特別の検査は予定していない」と話している。

(週刊金曜日   成澤宗男・編集部、12月7日号)

このように世間を煽れば雑誌が売れるのだろうとは思うが、この見出しに続く文章の中で『がれき焼却との因果関係は今のところ不明だ。』と書いてしまうのはどうなんだ? 根幹が揺らいでいるじゃないか。

この書き手の目に、横手市とは桁違いの量の焼却処理が行われている岩手・宮城に住む子供たちがどんなふうに映っているのだろうか。
彼の近所の学校に転校してこなければ、彼の親類との縁談が持ち上がらなければ、それで関係ないんだろうなぁ。

この記事では、12~42 Bq/kgのCsを含む焼却灰が残る焼却処理が危険だとにおわせている。
3月にも指摘したが、横須賀市の下水汚泥焼却灰からは12月初めでも543 Bq/kgのCs134と924 Bq/kgのCs137が検出されている。繰り返すが、横須賀市だけが特殊な環境なのではない。
横浜市のゴミ焼却工場では6月末の時点で、主灰中に310~480 Bq/kg、飛灰中に1220~2400 Bq/kgのCsが検出されている

『週刊金曜日』が関東一帯のゴミ処理・下水処理の即時停止を主張しないのはなぜなんだろう?


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まさか被爆2世が… [放射脳]

痛々しく感じる新聞記事を見つけた。

被爆2世:初の交流会「体験伝える」  国にがん検診要望へ

 広島、長崎の原爆被爆者の高齢化が進む中、被爆2世がその体験を引き継ごうと、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の「二世委員会」が3日、東京都内で初めて交流会を開いた。全国から2世や被爆者計約70人が参加。被爆体験の継承と核兵器廃絶に取り組むほか、2世を対象にしたがん検診の実施を国に求めていくことを決めた。

 二世委員会は今年9月に発足。冒頭、日本被団協の田中熙巳事務局長が、国の原爆被害に対する補償の実現や核兵器廃絶の訴えなど、被爆者運動の歩みを説明した。

 参加者からは「被爆者の多くは我が子に体験を語りたがらない。まず親の体験を知り、2世の自覚を持つことが大事」「福島原発事故に対する混乱ぶりは、国民が広島・長崎に向き合ってこなかったから。2世の交流を進めてフクシマとの関わりも考えたい」などの意見が出された。

 母親が長崎で被爆した長崎市の柿田富美枝さん(58)は「健康不安を抱える2世が多く、医療費が負担になっている。核兵器廃絶とともに2世への補償も訴えたい」。父親が広島で被爆した広島県三次市の田口正行さん(55)は「2世のがん検診実現のためには、全国で組織をつくることが大事だ」と述べた。【田中博子】

毎日新聞(2012.10.3)

これがどのような議論を経て、どのくらい多くの被爆2世の人たちの意見を集約して出された考え方なのかはよくわからないが、日本被団協の事務局長が同席するという状況下で話し合われたことならばそれなりの重みがあるのだろう。

ぼくはこれまで、「原爆の被爆者は、その後の結婚や出産などの局面で不当な差別を受けることがあった」と見聞きしてきたし、そんなことが繰り返されてはいけないと思ってきた。
それを根底から覆す見解だ。

被爆者団体の人が自ら、「親が被爆者であることを根拠として、健康面への公費での補償が必要だ」と訴えているのだ。
こういう声が存在することをぼくは知らなかったが、当事者ご本人が言っているのだから重い言葉だと受け止めなければならないのだろう。

学校教科書を含む様々な資料を、「「ピカがうつるから子供を産むな」と正確な指摘があったにもかかわらず、政府が適切な対処を怠り被害が拡大した」と書き改めて、広く国民に周知したうえで補償要求に応えるのが、筋の通った対処法になるのだろうか。


「フクシマとの関わりも考えたい」との意見もあったと記述されているが、これはちょっと待ってもらいたい。
そのような考え方と同じベクトルの上に、次のような講演をありがたがって議員が聴きに集まるという状況がある。

 生態系協会長 発言認める

  日本生態系協会の池谷奉文会長(70)が東京で開かれた講演会で、東京電力福島第一原発事故を受け「福島の人とは結婚しない方がいい」などと不適切な発言をしたとされる問題で、池谷会長は29日、報道機関に対して講演記録の一部を公表した。記録には不適切とされた発言内容が含まれていた。ただ、池谷会長は「福島の人を差別するようなことは思っていない」と反論した。一方、講演会に参加した福島市議は同日、記者会見を開き、講演時の発言の撤回を求めることを明らかにした。

 池谷奉文会長が公表したのは東京で7月9日に開いた日本生態系協会主催の「日本をリードする議員のための政策塾」で、池谷会長が講話した冒頭と中盤の一部。

 文書には「福島ばかりじゃございませんで栃木だとか、埼玉、東京、神奈川あたり、あそこにいた方々はこれから極力、結婚をしない方がいいだろう」「結婚をして子どもを産むとですね、奇形発生率がどーんと上がることになる」とある。
     (以下はリンク先を参照してください)

福島民報(2012.8.30)

上記の被爆者団体におかれては、現住所が沖縄あたりにあって「宮城・岩手のがれきも、青森の雪も、東北で生産された食べ物も、ゼロベクレルでない可能性がわずかでも感じられる物は一切持ち込むな! 東北エンガチョォォォォォ!!!」と叫んでいる『フクシマ』関係者と活発に関わっていただいて、現実の『福島』に暮らしている人々に働きかけてその心を乱すことは慎んで欲しい。

いくつか注意事項はあるものの、今福島に暮らしていることが原因となって健康を害する心配は限りなく小さいことがわかっている。
ましてや、原発事故の影響が次世代に引き継がれるなんて心配する必要は断じてない。

福島の若者たちはこの先、就職や結婚などの人生の節目において、不正確なことを言われるかもしれない。悲しいことだが、現実としてあり得ることと考えておいたほうがいいだろう。
しかしそれは、そう言う人が情けないのであって、福島の人が悪いのではまったくない。
毅然と力強く立ち向かって欲しい。


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この国の『痴』的水準 [放射脳]

もっと大きく扱われる話題かと思ったら、そうでもないようだ。「がれき処理」は、全国ニュースの中ではもう飽きてしまった話題なのかもしれない。

がれき広域処理、可燃物は新規要請せず

  宮城県は25日、東日本大震災で発生した県内のがれきの広域処理について、焼却処理する可燃物に関しては、既に受け入れを表明した自治体以外への新たな要請を行わない方針を明らかにした。仙台市内で同日あった県内全35市町村による災害廃棄物処理対策協議会の会合で示した。
 輸送コストの問題や、がれき受け入れに伴う放射能不安が根強いことも考慮。県内処理の拡充を図るとともに、既に受け入れを表明した自治体に処理量の拡大を要請する。目標とする2013年度末までの処理完了を目指す。
 現在、可燃物の処理を受け入れている自治体は青森、山形、福島、茨城、東京の5都県。これまでに計13.8万トンの処理を進めている。8月には北九州市が受け入れを始め、年間最大3万9500トンを処理する予定。
 再利用する木くずは、東北、関東地方の近距離の自治体に要請する。
 不燃物の広域処理については、茨城県内の民間企業と調整中の3万トン以外、受け入れ先のめどは立っておらず、引き続き全国の自治体に受け入れを要請する方針。
 今後、広域処理が必要な県内のがれきは100万トン。このうち可燃物は22万トン、木くずなど再生利用分は35万トン。残り43万トンは埋め立てが必要な不燃物になる。
 本木隆県環境生活部長は「広域処理が必要な状況は変わらない。処理量の拡大を含め、引き続き受け入れをお願いする」と理解を求めた。

河北新報 (7/26)

宮城県分の可燃震災廃棄物については、県内で焼却する態勢を強化して、すでに受け入れを決めてくれている自治体の他に新たな要請はしないということだ。
『脱原発派を装っている』俳優、ジャーナリスト、学者、政治屋等々にとっては、手放しで喜ぶことの出来る朗報なのではないだろうか。

処理作業に関してぼくは3月のエントリーに書いたように、今は訳のわからない連中にかかわって、時間や労力、費用を浪費する時でなく、地域で出来ることを工夫して着実に片付けようという考えなので、見切りが遅いけれども当然の成り行きだと思う。
しかし、社会現象として捉えた場合、これはこの国の『痴』的水準の高さを余すところなく証明したトピックとして記録されるべきだと思う。

「こっちで燃やすと危険だから、あっちで燃やせ!」
落ち着いて見つめれば、ほとんど全員がおかしいと感じるセリフだとぼくは思っていたけれども、この国ではそうではなかった。
「こっちで危ない行為は、あっちでやっても危ないんじゃないか?」
そう疑うのが知性だとぼくは思っていたけれども、この国にそんな考えは少なかった。

「震災廃棄物の焼却は焼却炉周辺住民の命を脅かす行為だから、岩手・宮城で焼却しろ!」
このセリフは、彼らの勝手な論理の中ではあるけれども、「岩手・宮城の居住者を殺せ!」と言っているのと同義だ。
その辺のチンピラが匿名で言っているだけではない。議員や首長、学者なんて肩書きの付いた人が公言し続けている例も少なくない。

こんな世相を見ながら暮らしている中学生に、「友達に自殺の練習をさせてはいけません」などと説教したところでどれほどの説得力があるだろうか?
突然、不正義な子供が生まれてくるわけではない。子供はしっかりと大人の様子を観察しているんだ。

「こっちはだめだ、あっちでやれ!」というのが市民の要求として確認されたのだから、為政者はずいぶん気が楽になったことだろう。

・原子力発電所はあっちで運転して電気だけをこっち(都会)に送り届けるべきというのが多数派だろう(あっ、以前と何も変わらないか)。
・放射性廃棄物はどこかずっとあっちの方(例えばモンゴルの砂漠とか)に埋めることにすれば国内の『脱原発派』は納得するだろう。
・事故リスクの高い軍用機は、この国の広域を飛び回るのではなく、あっち(たぶん南の方)で集中して飛べばよい。

なんとも腐りきった世の中だとぼくは感じるが、これが今のこの国を覆っている『痴』性なのだ。


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映画『ヘルプ』-偏見と差別 [放射脳]

ヘルプ』という映画を観た。
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人種差別が当たり前だった時代のアメリカ南部を舞台にした映画だ。
実話を元にしているらしいが、DREAMWORKS の映画らしくあまり深刻にならずに描かれている。
でも実際には、差別がまっとうなことだと信じて疑わない人が多い中で変化をもたらすような活動には、激しい批判や妨害が浴びせかけられたのだろうと思う。

この映画に、「あいつら(有色人種)にわれわれ(白人)と同じトイレを使うことを許してしまうと、病気が蔓延する。われわれの子どもの命を守るため、トイレは別々に設えなければならない。」という場面がある。
トイレを廃棄物焼却炉に置き換えれば、現在の日本にも同種の人たちが少なからず存在しているなと思ってしまった。

先月一連の記事を書いた手前、『がれき受け入れ』などをキーワードにしていろいろなwebページを読んでみた。
最初は放射性物質が問題だと言っていたはずなのに、いろいろな理由が付け加えられているようだ。
後付けでいい加減な屁理屈をぶら下げると、焦点がぼけて主張がどんどん色あせてくるよ。
いくつかみてみよう。

<岩手・宮城には土地がいくらでもあるから10年でも20年でもそのままにしておけばいい>
机上で「岩手の面積は…、宮城の人口は…」などと数字をもてあそんでいるとそんなことを思いつくのかもしれない。
あらかじめ山林を切り開き、尾根を削って谷を埋め、ダンプカーや重機が往来しても大丈夫なように広くて頑丈な道路を取り付け、自然発火にも対応できるように太い水道管を引くなどして場所を確保してから後片付けを始めれば良かったのだろうか。
折り重なった建物や倒木、車両、船などを取り除けながら人の体を探したんだ。急いで片付けなければ海岸部にアクセスするのも難しかった。人が利用していた土地を借りて集積することになったのは当然の流れだろう。
いつまでもそのままにしておいていいなんて言う人には、先日のように固定された建物さえ飛ばされるような風が吹いたら、がれき置き場で何が起きるかなんて想像する力もないのだろう。

<仙台市は外に運び出さずに自前で処理するのだからそれを見習え>
仙台は人口100万を超える都市だ。元々容量の大きな清掃工場が複数あったから、その稼働を高めることでかなりの量を飲み込むことができる。加えて海岸から広がる平野部の深くまで波が到達してしまい、広い土地に影響が及んだ。結果的に比較的早く集積所や分別施設、仮設焼却炉を設置する場所を確保でき、すでに3カ所の仮設焼却炉が稼働している。作業の進捗状況を考慮しながら、県内他市町の分を処理できるよう相談が続けられている。
それぞれの自治体にそれぞれの状況があることを考えずに物を言っても意味がない。

<横浜の山下公園のようにがれきを利用すればいい>
当たり前だ。
仙台市では昨年のかなり早い時期に示された復興計画の素案の段階から、海岸線に沿って岡を造成するためにがれきを利用するアイディアが盛り込まれているし、地盤が沈んだ漁港などのかさ上げにがれきを使おうとしている自治体もある。
ただし、そこに使うのはコンクリート片や土砂だ。小さく折れたり割れたりしたうえに水に浸かってしまって防腐処理ができない材木を多量に埋めてしまうと、やがて腐食して土中に空隙が生じたり地表が陥没したりしてしまうことが目に見えているじゃないか。

<陸前高田市長が広域処理などけしからんと言っている>
本当か?
かなり以前に書かれた文章の言葉尻をとらえているだけではないのか。
ご本人がどのように言っているかは少し調べればわかるはずだ。

<現地の雇用を奪う結果となる>
人手をかけて集積や分別、破砕作業を行い焼却炉に投入する状態になった物が処理しきれないからそこを分担できないかという話になっているのだ。域外に運ぶのを止めたとしても新たな仕事が増えるわけではない。可燃物の山が積み重なって対処に窮するようなことになれば、その前段の仕事をしばらく休むことになるかもしれない。

とにもかくにも、方々に一字一句違わない文章がアップされていてうんざりする。
無責任で底の浅い週刊誌の記事や幼稚なアジテータの話を丸飲みしてそれが全部だと信じ込むから同じ文章を書く、というようりもコピーすることになるんだ。
接した情報を自分なりに消化して、一次情報や異なる見解を参照するなどすれば上に書いたような屁理屈を広める人間にならずに済むはずだ。

そして『広域処理反対』を主張するページはたくさんあるのだけど、「われわれの近くで燃やすと危険だから現地で燃やせ」と言っている理由、つまり岩手と宮城で焼却すれば安全だという論理の説明を見つけることは出来なかった。

一粒たりとも放射性物質を持ち込むなと言いながらセシウムの量は大して変わらないゴミを投入した焼却炉からの煙を浴び、その焼却灰が山形や奈良に搬出されることには目をつぶる人たちに『守られながら』子どもが育っている。


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