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だからこうなる [放射脳]

前の記事で書いたとおりだ。

 放射性物質:家庭ゴミ焼却灰から微量検出 業者が搬入中止

 神奈川県内の家庭ごみ焼却施設から出た焼却灰を奈良県御所(ごせ)市で埋め立て処分していた同市の産業廃棄物処理業者が、「放射能が不安」という住民の批判で今月上旬から受け入れを中止していたことが分かった。灰の放射性物質は国基準の数十分の1で、焼却灰を搬出した神奈川県の自治体は「拒まれた理由がよく分からない」と困惑している。全国各地で東日本大震災関連のがれきや焼却灰の受け入れが検討されているが、家庭ごみを巡って受け入れ中止になったのは異例。

 搬出が中止されたのは、神奈川県湯河原、真鶴両町が燃やした焼却灰。2月の測定で、1キロ当たり144~490ベクレルの放射性セシウムが検出され、東京電力福島第1原発事故の影響があるとみられている。しかし、国が示している埋め立て可能な基準値(8000ベクレル)や、関西広域連合が設定予定の受け入れ基準値(2000ベクレル)を大きく下回っていた。

 両町によると、焼却灰は湯河原町の最終処分場に埋め立てていたが、処分場から有害物質のカドミウムが漏出している可能性が指摘され、昨年12月に埋め立てを中止。灰からは問題になるほどのカドミウムが検出されておらず、代替処分先を探して御所市内の産廃処理業者に受け入れてもらった。今年1月27日から3月上旬までに約300トンを搬入した。

 しかし、今月になって搬入を知った奈良県内の反対派住民らは、搬出元の両町に抗議や問い合わせをし、インターネットでの呼び掛けもあって電話は十数件になった。奈良県や御所市などにも電話が相次ぎ、産廃業者は「地元に迷惑を掛けられない」と7日に搬入中止を決めた。新たな受け入れ先は見つかっていない。インターネットでの呼び掛けに応じた奈良市の女性(39)は、「国の基準値は高すぎて問題外。がれきも灰も運び込まないでほしい」と話している。

 環境省によると、家庭ごみの灰を巡って、放射性物質が基準値を下回るのに受け入れを拒否されるケースはあるが、搬入開始後に中止に追い込まれるのは異例。同省は「基準値はかなり厳しく設定している。理解を得られるよう努力したい」としている。

毎日新聞(3/22)

放射性物質は動かすべきでないと言っている人たちの説に沿うのであれば、地元自治体内で処分するしかないのだけど埋め立てる場所がないから奈良にまで運んでいたんだよ。
いやそもそもは焼却が危険だと言っていたのだから、家庭ゴミを収集して処理するのがけしからんということになる。

これでは市民生活が成り立たない。どうすればいいのだろう。困ったことになってしまった。

よくわからないのは、この記事には奈良県民の抗議によって運搬が中止されたと書かれていることだ。
あれほどの勢いで黒岩知事を吊し上げていた神奈川県民の一部の人たちは何をしていたのだろう?


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『脱原発運動』らしきものには抵抗する [放射脳]

あー、腹が立つ。

前ふたつのエントリーに対して、"脱原発"だと称する者からの反応がいくつも届く。
あの記事のどこが「原発推進のたわごと」なのか?
彼らの『看板俳優』である山本太郎の名を挙げて、「幼稚なニセ者」だとばらしてしまったので慌てているのだろう。

(自分勝手に)ハザードがあると規定したならば、その近くの人の事を思いやるのが当たり前に成熟した人間のはずなのに、「オレたちはヤツらのけがれから無縁でいようね」と一部を安易に切り捨てて日本を分断する主張をしながら各地を行脚しているから「幼稚だ」と言っているのです。

そんな行為が『脱原発運動』であるならば、ぼくはその対極に身を置くことにする。

次元の低い主張だけど(聞く方がきちんと判断すればいいのだから)放っておいてやれよ、と書いたことは取り消して、今後おかしいことはおかしいと指摘する。

> がれきと一緒に出て行け!
個人的な身の振り方まで気にかけてくれてありがとう。
ふたつ前の記事中にそんな記述があるから反応したのだろう(結構ちゃんと読んでるじゃないか)。
この社会のありようにあきらめが募っているので、言われなくても具体化しようと検討し続けている。
ただ、ぼくはスーパーマンなどではないので「今すぐがれきを全部持って」というのは現実的でないとわかってもらえると思う。

ちなみに木質がれきの処理については状況が変わりつつあるが、ぼくはあまりよい展開ではないと思っている。
地域同士のつながりでは落とし所を見いだせず、中央政府の強い関与である意味強引に進めることになってしまった(だからもう止めようと言ったんだ)。
各地で焼却が始まったら、数値変動の意味を吟味することなく「線量の上昇を観測したぞ。やっぱり東北は危険だ。エンガチョ。」と騒動が繰り広げられるのだろう。
今年の暮れ頃には『週刊文春』か『週刊金曜日』で(このふたつの名が並ぶのは興味深い)、焼却処理が原因で病気になった人の記事が掲載されるんだろう。

手始めに、「放射性物質を一切移動させてはならない」という主張について考えてみよう。

この言葉は放射性物質を域内に一切持ち込まない事と同時に、域外へ一切持ち出さない事も意味していると考えるのが当然だとぼくは思うのだがどうなのだろう?

ぼくは次のようなレンジの数値を並べることに大して意味があるとは考えていないが、関心のある人が多いようだから指摘しておく。

神奈川県横須賀市における下水道汚泥の焼却灰中のCs濃度は今年になってから801~3090 Bq/kgの範囲で推移している。黒岩知事が吊し上げられている光景が印象に残っているので横須賀市を一例に見たのだが、下水道の構造や雨水が混入する程度で数値にばらつきがあると考えられるものの横須賀市だけが特殊な環境なのではない。
一方、試験的に岩手県山田町の木くずを一般ゴミに混ぜて焼却した静岡県島田市の焼却灰中のCs濃度は64 Bq/kgと発表されている。焼却炉の構造がわからないが、飛び散る固形物を回収した物-集じん灰-だけを集めて測定すればこの数値は5倍程度に高まると思う。
宮城県気仙沼市の木くずを燃やして発電している山形県の施設の『燃え殻』中のCs濃度は1月13日の測定で1170 Bq/kg。山形県米沢市の処分場に埋め立てのため持ち込まれた他県の焼却灰中のCs濃度最大値を持ち込み量の多い県についてみると、茨城県からの1410 Bq/kg、埼玉県からの1300 Bq/kg、千葉県からの2400 Bq/kgとなっている

「放射性物質を一粒たりとも持ち込むな」と叫んでいる人たちは、自分たちの足下から下水道汚泥や一般ゴミ焼却灰が域外に持ち出されることを阻止しようと努力しているのだろうか?


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エンガチョおっさんなど放っておけばいい [放射脳]

昨日書いたことについてある人から、「山本太郎を擁護するのか!」と怒られちゃいました。

そんなつもりは一切無いんですけれどね。
いい年して「エンガチョ」と言っている人間を気にかけているヒマはない、関心がないのです。
そんな人でも考えがあればそれを表現するのを妨げてはいけない。
そんな幼稚なニセ者の活動の効果がどの程度あるのかわからないけれども、9割がNOと言っているのならそれが今の日本なのだと率直に受け止めて、自分らで出来ることに集中しましょうという考えです。

と終わってしまうと文が5つしかないので、少しだけエンガチョおっさんたちに目を向けてみましょうか。

環境問題に造詣が深いと自称するジャーナリスト、学者、俳優に聞いてみたい。
今日この瞬間にも、福島の地で東京電力が石炭や石油を焚き排気で福島の空を汚しながら首都圏へ電気を送り続けていること。この夏までにはさらに出力を上げられるよう発電所の補修を進めると表明していることをどう考えればいいのだろう?

上の質問をした意味がわかるのならば、あんな言動にはつながらないでしょうから無駄ですね。
では、ひとつ助言させてもらいましょう。
日本のあちこちに出かけていって気勢を上げるのは、楽しいかもしれませんが移動だけでも大変でしょう。
宮城や岩手に来て、「がれきをよそに押しつけるな!」と訴え続けてはいかがですか。その方がみなさんの希望を叶えるために有効だと思いますよ。
昔のテレビCMでも言っていました-「臭いにおいは元から断たなきゃダメ」-ってね。


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無理強いはやめた方がいい [放射脳]

3月になりました。もうすぐ丸1年です。

長らくこのブログを放置していますが、何か書こうとする気力を失っています。
政治家や役人、企業経営者、ジャーナリスト、学者、知識人等々の人々の様子が、視野の狭い場当たり的なものばかりで、保身やごく身近な周辺の利益のことしか頭にないのではないかと感じています。
自分の振る舞いが社会にどのように影響するかは二の次で、その場しのぎの継ぎ接ぎ対応のくり返しが多いと思います。
「なるほど理にかなっている、筋が通っているな」と感じ取れる機会はとても少なくて、何かを考えようとする意欲がなかなか湧いてきません。

そんな状態ではありますが、この数日間に気にかかった件について書き記してみます。

 がれき受け入れ86%が難色  放射性物質の拡散懸念

 東日本大震災をめぐり共同通信が実施した全国自治体アンケートで、岩手、宮城両県のがれきの受け入れについて、回答した市区町村の33%が「現時点では困難」、53%が「まったく考えていない」とし、全体の86%が難色を示していることが3日分かった。11日で震災1年を迎える中、放射性物質が拡散するとの懸念がくすぶり、広域処理は進んでいない。2014年3月末までに処理を終える政府目標の達成は困難な情勢だ。

 調査は2月、都道府県と市区町村の計1789自治体を対象に実施。がれき処理関連は、1742市区町村のうち1422市区町村(82%)が回答した結果を集計した。

 岩手、宮城両県のがれきは、これまでに青森県や山形県、東京都が受け入れ、静岡県島田市などで試験焼却が始まっている。アンケートでは、北海道、青森、千葉、東京の27市区町村が「受け入れを決めている」と回答。34都道府県の127市町村が「検討中」と答えた。一方、「検討しているが現時点では難しい」は466市町村、「まったく考えていない」は753市町村に上った。

 また都道府県と市区町村に受け入れの障害(複数回答)を聞いたところ「処理できる施設がない」が53%で最多。「放射性物質への懸念」(41%)、「地理的に運び込みが困難」(24%)、「処理能力を超える」(22%)、「汚染を心配する住民の反発」(20%)が続いた。人口50万人以上の都市部では放射性物質への懸念が目立ち、5万人未満の小規模自治体では処理できる施設がないとの回答が多かった。また東北から距離が離れるほど、運び込みが困難との答えが増えた。

 環境省の集計によると、岩手、宮城両県で発生したがれきの推計量は計2044万6千トン。2月27日の時点で焼却や埋め立て、再利用などの処理が済んでいるのは116万7千トン(6%)にとどまっている。福島県のがれき推計量は208万2千トン、処理済みは9万5千トン(5%)で、すべて同県内で処理する。

共同通信(3/4)

小規模自治体では処理施設の容量が無い事例、都市部では住民の不安の声が多いという調査です。
住民の不安に関連して次のような記事もありました。

山本さんら招き、がれきサミット--県内10団体/秋田

 東日本大震災で発生した災害廃棄物(震災がれき)の受け入れについて考える「震災がれきサミットin秋田」(同実行委主催)が28日、秋田市であった。県内の10団体が賛同して企画し、約200人が参加。環境ジャーナリストの青木泰さんと、反原発を公言している俳優の山本太郎さんをゲストに招いた。

 青木さんは、福島第1原発事故で飛散した放射性物質が関東を汚染していると主張。岩手県などの稲わらから放射性セシウムが検出された問題を挙げて「岩手、宮城県のがれきは放射性物質で汚染されている」と述べ、焼却場の煙突に設置されるフィルターでは放射性物質を除去できないとする自説を展開した。

 また、山本さんや賛同団体のメンバーらによる討論会や意見交換もあった。山本さんは「震災がれきは被災地内で処理すべきだ」と意見を述べた。

 賛同団体などは、サミット開催前にJR秋田駅前でがれき受け入れ反対の署名集めを実施。29日に秋田市へ提出する。県と大仙市には中止の要望書を提出する。

毎日新聞地方版(2/29) 

神奈川県知事が吊し上げともいえる状況に陥っている報道でも見かけたから、受け入れが具体化しそうな自治体では、仕事を干されたと名をはせた俳優や御用学者とは立場が異なると自任する研究者、ジャーナリストなどが加わって受け入れ反対が展開されているのでしょう。

ぼくが、震災がれきを燃やすことに看過できない危険が伴うと確信を持ったとしたらどう行動するか想像してみました。
ぼくならば各地の受け入れ反対運動に係わってなどいられない。
どこで燃やすかが問題なのではなく、燃やすこと自体が問題なのだから。
現にがれきのある場所に行って、処理方法を変えるか処理自体を止めて住民の方を動かすように働きかけなければ問題解決にはつながらないと思い至りました。

このことをどう考えればよいのか?
仙台で焼却処分が進行していることに関して、先の記事に登場していた環境ジャーナリストの青木泰氏は大変ポジティブな評価をしてくれています。
  → http://gomigoshi.at.webry.info/201202/article_3.html 
「被災者が働くことも出来ていいじゃないか」との考えも披露しています。

?????

ぼくには理解できません。
東北の人間になら害が及んでもかまわないという考えなのか、「(大した実害はないけれど)オマエらのけがれをオレの領域に持ち込むんじゃない、エンガチョ!」と言っているのかのどちらかなのでしょう。

次元の低い意見だとは思いますが、反対の声をむげに踏みつぶすのもまずいだろうと考えます。
もともと、廃棄物処理はセンシティブな問題となりがちです。
東北太平洋岸の震災廃棄物を遠く離れた地に運ぶというのは、都市で生じた産業廃棄物を過疎地の山奥や瀬戸内の小島に集積するような、東京電力の発電所を福島や新潟、青森に建設するような、心情的な後味の悪さをぼくは少し感じています。

一方で、震災廃棄物を広域で処理しよう計画する側の提案の仕方も稚拙なのではないでしょうか。
「国が定めた水準を下回る数値だから安全です」-これでは、原発をオペレーションしている人たちと同じじゃないですか。
安全か危険かの二分論に入り込んでしまったら立ち往生するのは当然です。この1年間に何ひとつ学んでいない。

ぼくが、廃棄物処理を引き受けようと考える自治体の首長だったとしたら…、
(1) 受け入れることによってリスクが高まるかもしれない可能性を完璧に否定することは出来ない。
(2) しかし、現在得られている知見から合理的に考えてその影響はあったとしてもごく微少で、実際の現象として観察できるほどではなく、処理場近隣の人たちがバタバタと病に倒れるようなことにはならないと判断する。
(3) 上記のような小さなリスクを乗り越えてでも取り組む意義のある仕事であると考える。
(4) 処理作業中やその後の監視を厳重に行い、当初考えていなかった新事実が明らかになった際には、持ち込みに由来する物質の撤去などの対応が出来るよう準備する。
(5) このような方針の下で住民のみなさんの理解を得たい。これが否定された場合には、そのような気質のコミュニティーの代表あるいは一員であることを望まないので職を辞してよその地へ転居しようと思う。
 - と説明したいと思います。

最初に引用した新聞記事のとおり自治体の9割が難しいと言っているのだから、処理計画の見直しが必要でしょう。今の日本は『絆』だの『支え合おう』だのといった言葉で飾って、ゴミの移動が許容されるようなヤワな社会ではないということを確認すべきです。

堆積しているがれきは、どう表現しても足りないほどショッキングな光景で深刻な問題です。
でも、それが消えなければ何も出来ないというわけでもないと自分たちで言い聞かせて、出来ることを進めていくしかないでしょう。

もともと2014年3月という期限に精密な根拠があるわけではありません。政権に居座っている人たちが「3年後をめどに」とつぶやいたから、じゃあ2014年3月だなと期待が広がったのです。
一時期首相だった人は「お盆までに仮設住宅を造る」とつぶやいていたけれども、県内で最後の仮設が完成したというニュースが流れたのは年末でした。税金や行財政改革、米軍基地などのことを考えてみても、今の政権は国民の期待を裏切ることにかけては驚異的な実力を発揮します。空手形を切るためだけに政権に就いたと言っても言い過ぎではないとぼくは思っています。

ぼくの家から見える既設の清掃工場からも絶え間なく煙が上がるようになりました。実際に処理作業を始めてみて明らかになった事情も含めて作業計画を見直し、出口が変わるならば早めに周知する対応が必要でしょう。

と書いて終わりにしようと思ったら次のようなニュースも流れていました。

首相「がれき受け入れ自治体を支援」 国が経費負担も 

  野田佳彦首相は4日、東日本大震災で生じたがれきの処理について「応援してくれる自治体にも国が前面に出て財政的に対応していく」と述べ、被災地だけでなく、がれき受け入れ自治体への財政支援を検討していく考えを示した。

 首相は日本テレビの番組に出演し、被災地以外の自治体ががれきを受け入れる場合について「放射能検査を自治体が行う際は支援する」と強調。場合によっては国が直接、放射能検査を行うことも検討する考えを示した。また、処分場の増設・新設経費を国が負担することにも言及した。環境省によると、被災地のがれき処理は2月末で5%にとどまる。財政支援を打ち出すことで、がれきの広域処理を促進したい考えだ。

朝日新聞(3/4)

この人の思考回路はどうなっているんだろう?

受け入れ反対派は経費がもったいないからやめろと言っているのではない。
最初に引用した新聞記事でも経費に係わる要因は「運び込みが困難」という部分に少しだけ関連するかもしれないという程度です。

金を受け取れるならと考えるかもしれない自治体職員の事情が隠れている可能性はあるものの、そんな札びらで頬を叩くようなやり方で事を進めてしまったら、その地の住民の不満が高まるばかりだと気が付かないのだろうか。

こんなニュースが流れるから、冒頭で愚痴ったように投げやりな気分が深まるんです。


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