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人間として見ているのか? [社会]

3年前、ぼくはチュニジアの建築現場の様子を見て、こんな文章を書いたことがありました。

 建築現場を見ていて気になることがあります。

作業している人たちが、家から着てきた普段着そのままといった服装で仕事をしているのです。作業服、安全靴、ヘルメットなどが広く行き渡っていないようです。

『仕事用の服装』という概念がないわけではありません。
繊維や食品などの工場では、昔のお医者さんが着ていたような丈の長いコート様の白衣(色は青が多いようですが)が用いられているのを見ましたし、会社等の建物の掃除をする人は背中に清掃会社の社名と電話番号が書かれた揃いの作業服を着ています。中等学校くらいまでの生徒たちは、普通の服装の上に袖のない薄手のチョッキのようなものを着て通学しています。

しかし建築現場では、安全に作業するための機能的な装備が考えられていないように見えます。作業服等に金を使う仕組みになっていないのか、作業員の方が慣れた普段着で仕事をしたがるのか、理由はよく分かりません。

水を使ってセメントと砂を混ぜる作業をしている人などは、帰りに履くべき靴(普段履いている靴)を汚さないようにという配慮からか、裸足になってスコップを使ってモルタルをコネコネしています。
ヘルメットや命綱なしに高所作業をしている人もいます。

イラクやアフガン、そしてコンゴやスーダンとは側面が異なってはいますが、「人間が大事にされていない」と感じる時があります。

一方で、一応定職に就きながらも自分の部屋を構えるほどの経済的余裕は無くて、個室ビデオ店で寝泊まりしている人がいるなんていうニュースに接すると、日本のベクトルも人を軽く扱う方に向いているのではと思ってしまいます。
将来日本の街角に、裸足になってセメントをこねる人が出現することがないようにがんばらなくては…。

日本と比べて『人間の命の値段』が安いなあと感じ、まさか日本の社会がそんな方向に向かうことはないよね、と考えていました。
しかし、ぼくが現実をわかっていなかったのかもしれません。

原発作業員 143人所在不明

東京電力福島第一原子力発電所で、事故のあと働いていた作業員のうち所在が分からないため被ばく量の検査ができていない人が、これまでに143人に上ることが分かりました。

厚生労働省によりますと、福島第一原子力発電所の事故のあとから働いた作業員のうち、名簿に残っている名前に該当する人が確認できず、所在が分からない人が143人に上るということです。東京電力は、この143人を含めおよそ770人について、依然として被ばく量の検査ができていないということです。このため厚生労働省は、東京電力に対して作業員の管理を徹底するよう改めて指導するとともに、今月31日までに所在の確認を行い、被ばく量の検査を終えるよう求めています。また、ことしの5月から働き始めた作業員およそ3200人の被ばく量の検査状況について、10日、東京電力が厚生労働省に報告したということです。それによりますと、これまでに検査が終わったのは2721人で、緊急時の被ばく限度となる250ミリシーベルトを超えた作業員はいませんでしたが、50ミリシーベルト以下で20ミリシーベルトを超えた人が20人いたということです。

福島第一原発で、事故のあと、働いていた作業員のうち、所在が分からないため、被ばく量の検査ができていない人が143人にのぼることについて、東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は、「所在が分からない作業員については、内部被ばくを調べるという健康上重要な検査を受けてもらうために、早く特定して連絡をとりたいと思っている。作業員の名簿の重複もあるとみられるので、名簿の確認作業などを進め、速やかに所在が分からない作業員を減らしていきたい」と話しています。

NHK NEWSWEB (8/10)

宮城での仕事だと聞かされて赴任してみたら福島原発で働いていたという人のことがニュースになったこともありました。他にもそんな人が多くいるのでしょう。誰なのかわからない人が143人、その人たちも含めて検査できていない人数が770人。
大変な事態だといっても、普段から管理手順がしっかりしていればこんなに混乱することはないのではと思います。

人間が使い捨ての機械部品のようにみなされていたのではないでしょうか。


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