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無理強いはやめた方がいい [放射脳]

3月になりました。もうすぐ丸1年です。

長らくこのブログを放置していますが、何か書こうとする気力を失っています。
政治家や役人、企業経営者、ジャーナリスト、学者、知識人等々の人々の様子が、視野の狭い場当たり的なものばかりで、保身やごく身近な周辺の利益のことしか頭にないのではないかと感じています。
自分の振る舞いが社会にどのように影響するかは二の次で、その場しのぎの継ぎ接ぎ対応のくり返しが多いと思います。
「なるほど理にかなっている、筋が通っているな」と感じ取れる機会はとても少なくて、何かを考えようとする意欲がなかなか湧いてきません。

そんな状態ではありますが、この数日間に気にかかった件について書き記してみます。

 がれき受け入れ86%が難色  放射性物質の拡散懸念

 東日本大震災をめぐり共同通信が実施した全国自治体アンケートで、岩手、宮城両県のがれきの受け入れについて、回答した市区町村の33%が「現時点では困難」、53%が「まったく考えていない」とし、全体の86%が難色を示していることが3日分かった。11日で震災1年を迎える中、放射性物質が拡散するとの懸念がくすぶり、広域処理は進んでいない。2014年3月末までに処理を終える政府目標の達成は困難な情勢だ。

 調査は2月、都道府県と市区町村の計1789自治体を対象に実施。がれき処理関連は、1742市区町村のうち1422市区町村(82%)が回答した結果を集計した。

 岩手、宮城両県のがれきは、これまでに青森県や山形県、東京都が受け入れ、静岡県島田市などで試験焼却が始まっている。アンケートでは、北海道、青森、千葉、東京の27市区町村が「受け入れを決めている」と回答。34都道府県の127市町村が「検討中」と答えた。一方、「検討しているが現時点では難しい」は466市町村、「まったく考えていない」は753市町村に上った。

 また都道府県と市区町村に受け入れの障害(複数回答)を聞いたところ「処理できる施設がない」が53%で最多。「放射性物質への懸念」(41%)、「地理的に運び込みが困難」(24%)、「処理能力を超える」(22%)、「汚染を心配する住民の反発」(20%)が続いた。人口50万人以上の都市部では放射性物質への懸念が目立ち、5万人未満の小規模自治体では処理できる施設がないとの回答が多かった。また東北から距離が離れるほど、運び込みが困難との答えが増えた。

 環境省の集計によると、岩手、宮城両県で発生したがれきの推計量は計2044万6千トン。2月27日の時点で焼却や埋め立て、再利用などの処理が済んでいるのは116万7千トン(6%)にとどまっている。福島県のがれき推計量は208万2千トン、処理済みは9万5千トン(5%)で、すべて同県内で処理する。

共同通信(3/4)

小規模自治体では処理施設の容量が無い事例、都市部では住民の不安の声が多いという調査です。
住民の不安に関連して次のような記事もありました。

山本さんら招き、がれきサミット--県内10団体/秋田

 東日本大震災で発生した災害廃棄物(震災がれき)の受け入れについて考える「震災がれきサミットin秋田」(同実行委主催)が28日、秋田市であった。県内の10団体が賛同して企画し、約200人が参加。環境ジャーナリストの青木泰さんと、反原発を公言している俳優の山本太郎さんをゲストに招いた。

 青木さんは、福島第1原発事故で飛散した放射性物質が関東を汚染していると主張。岩手県などの稲わらから放射性セシウムが検出された問題を挙げて「岩手、宮城県のがれきは放射性物質で汚染されている」と述べ、焼却場の煙突に設置されるフィルターでは放射性物質を除去できないとする自説を展開した。

 また、山本さんや賛同団体のメンバーらによる討論会や意見交換もあった。山本さんは「震災がれきは被災地内で処理すべきだ」と意見を述べた。

 賛同団体などは、サミット開催前にJR秋田駅前でがれき受け入れ反対の署名集めを実施。29日に秋田市へ提出する。県と大仙市には中止の要望書を提出する。

毎日新聞地方版(2/29) 

神奈川県知事が吊し上げともいえる状況に陥っている報道でも見かけたから、受け入れが具体化しそうな自治体では、仕事を干されたと名をはせた俳優や御用学者とは立場が異なると自任する研究者、ジャーナリストなどが加わって受け入れ反対が展開されているのでしょう。

ぼくが、震災がれきを燃やすことに看過できない危険が伴うと確信を持ったとしたらどう行動するか想像してみました。
ぼくならば各地の受け入れ反対運動に係わってなどいられない。
どこで燃やすかが問題なのではなく、燃やすこと自体が問題なのだから。
現にがれきのある場所に行って、処理方法を変えるか処理自体を止めて住民の方を動かすように働きかけなければ問題解決にはつながらないと思い至りました。

このことをどう考えればよいのか?
仙台で焼却処分が進行していることに関して、先の記事に登場していた環境ジャーナリストの青木泰氏は大変ポジティブな評価をしてくれています。
  → http://gomigoshi.at.webry.info/201202/article_3.html 
「被災者が働くことも出来ていいじゃないか」との考えも披露しています。

?????

ぼくには理解できません。
東北の人間になら害が及んでもかまわないという考えなのか、「(大した実害はないけれど)オマエらのけがれをオレの領域に持ち込むんじゃない、エンガチョ!」と言っているのかのどちらかなのでしょう。

次元の低い意見だとは思いますが、反対の声をむげに踏みつぶすのもまずいだろうと考えます。
もともと、廃棄物処理はセンシティブな問題となりがちです。
東北太平洋岸の震災廃棄物を遠く離れた地に運ぶというのは、都市で生じた産業廃棄物を過疎地の山奥や瀬戸内の小島に集積するような、東京電力の発電所を福島や新潟、青森に建設するような、心情的な後味の悪さをぼくは少し感じています。

一方で、震災廃棄物を広域で処理しよう計画する側の提案の仕方も稚拙なのではないでしょうか。
「国が定めた水準を下回る数値だから安全です」-これでは、原発をオペレーションしている人たちと同じじゃないですか。
安全か危険かの二分論に入り込んでしまったら立ち往生するのは当然です。この1年間に何ひとつ学んでいない。

ぼくが、廃棄物処理を引き受けようと考える自治体の首長だったとしたら…、
(1) 受け入れることによってリスクが高まるかもしれない可能性を完璧に否定することは出来ない。
(2) しかし、現在得られている知見から合理的に考えてその影響はあったとしてもごく微少で、実際の現象として観察できるほどではなく、処理場近隣の人たちがバタバタと病に倒れるようなことにはならないと判断する。
(3) 上記のような小さなリスクを乗り越えてでも取り組む意義のある仕事であると考える。
(4) 処理作業中やその後の監視を厳重に行い、当初考えていなかった新事実が明らかになった際には、持ち込みに由来する物質の撤去などの対応が出来るよう準備する。
(5) このような方針の下で住民のみなさんの理解を得たい。これが否定された場合には、そのような気質のコミュニティーの代表あるいは一員であることを望まないので職を辞してよその地へ転居しようと思う。
 - と説明したいと思います。

最初に引用した新聞記事のとおり自治体の9割が難しいと言っているのだから、処理計画の見直しが必要でしょう。今の日本は『絆』だの『支え合おう』だのといった言葉で飾って、ゴミの移動が許容されるようなヤワな社会ではないということを確認すべきです。

堆積しているがれきは、どう表現しても足りないほどショッキングな光景で深刻な問題です。
でも、それが消えなければ何も出来ないというわけでもないと自分たちで言い聞かせて、出来ることを進めていくしかないでしょう。

もともと2014年3月という期限に精密な根拠があるわけではありません。政権に居座っている人たちが「3年後をめどに」とつぶやいたから、じゃあ2014年3月だなと期待が広がったのです。
一時期首相だった人は「お盆までに仮設住宅を造る」とつぶやいていたけれども、県内で最後の仮設が完成したというニュースが流れたのは年末でした。税金や行財政改革、米軍基地などのことを考えてみても、今の政権は国民の期待を裏切ることにかけては驚異的な実力を発揮します。空手形を切るためだけに政権に就いたと言っても言い過ぎではないとぼくは思っています。

ぼくの家から見える既設の清掃工場からも絶え間なく煙が上がるようになりました。実際に処理作業を始めてみて明らかになった事情も含めて作業計画を見直し、出口が変わるならば早めに周知する対応が必要でしょう。

と書いて終わりにしようと思ったら次のようなニュースも流れていました。

首相「がれき受け入れ自治体を支援」 国が経費負担も 

  野田佳彦首相は4日、東日本大震災で生じたがれきの処理について「応援してくれる自治体にも国が前面に出て財政的に対応していく」と述べ、被災地だけでなく、がれき受け入れ自治体への財政支援を検討していく考えを示した。

 首相は日本テレビの番組に出演し、被災地以外の自治体ががれきを受け入れる場合について「放射能検査を自治体が行う際は支援する」と強調。場合によっては国が直接、放射能検査を行うことも検討する考えを示した。また、処分場の増設・新設経費を国が負担することにも言及した。環境省によると、被災地のがれき処理は2月末で5%にとどまる。財政支援を打ち出すことで、がれきの広域処理を促進したい考えだ。

朝日新聞(3/4)

この人の思考回路はどうなっているんだろう?

受け入れ反対派は経費がもったいないからやめろと言っているのではない。
最初に引用した新聞記事でも経費に係わる要因は「運び込みが困難」という部分に少しだけ関連するかもしれないという程度です。

金を受け取れるならと考えるかもしれない自治体職員の事情が隠れている可能性はあるものの、そんな札びらで頬を叩くようなやり方で事を進めてしまったら、その地の住民の不満が高まるばかりだと気が付かないのだろうか。

こんなニュースが流れるから、冒頭で愚痴ったように投げやりな気分が深まるんです。


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