やらせ意見提出-動員される世論らしきもの(上) [社会]
九州電力のやらせ意見提出について、回りくどい表現ですが批判的に書いたことがありました(→ 続・言葉の信頼性)が、反省しなくてはなりません。
よく考えてみれば、批判にも値しない愚かな行為と見るのが適切です。
今日も新しいニュースがありました。
九州電力の、いわゆるメール問題で、経済産業省の資源エネルギー庁の担当者が、ことし6月に開かれた玄海原子力発電所の運転再開を巡る説明会の前に、九州電力に対し「説明会では運転再開に賛成する意見があったほうが望ましい」と伝えていたことが分かりました。
この問題は、佐賀県にある玄海原発の2号機と3号機の運転再開に向けて、ことし6月、国主催の説明会が開かれる前、九州電力が原発の運転再開に賛成する意見を説明会に送るよう、社内や子会社にメールなどで指示していたものです。九州電力の関係者によりますと、国の説明会の前に、資源エネルギー庁の担当者が、東京都内で九州電力に対し、「説明会では、運転再開に賛成する意見があったほうが望ましい」と伝えていたことが分かりました。九州電力のメール問題を巡っては、佐賀県の古川知事が、説明会の前に九州電力の幹部と面会し「原発の運転再開を容認する意見を出すことも必要だ」と伝え、その後、賛成意見を求めるメールが社員などに出されていますが、資源エネルギー庁の担当者の発言は、メールが出された日より、あとだということです。九州電力は、資源エネルギー庁の担当者の発言が賛成意見の投稿を後押しした可能性もあるとして、経済産業省が設けた第三者委員会に報告したということです。
NHK NEWSWEB(8/21)
行われたのは原発に関する『説明会』であって、『意見交換会』でも『住民意向調査』でもありません。そこに(動員された)意見が届いたとしても、「住民は賛成している(あるいは反対している)」と判断を下す根拠にはならないはずです。
本当に住民の意向が知りたいのならば、正しい方法で意見集約する場が必要です。
上のニュースに登場する『担当者』は自分の担当する仕事の内容・目的を理解できているのかどうか、国家公務員としての資質を有しているのかどうか疑問符を付けざるを得ません。
こんなふうに『世論』を扱おうとする動きが出てしまうのは、制度の機能不全を象徴していると思います。
やはり個別・具体の課題に関して、直接市民の意思を問うための制度が必要なのではないでしょうか。
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