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懲りない面々 [政治]

『ストレステスト』とかいう用語が登場して、混乱が生じています。

町長が了承撤回 耐性試験不満、やらせメールも

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働問題で、今月4日に運転再開を了承した同町の岸本英雄町長は7日午前、町役場で臨時会見を開き、了承撤回を表明した。6日に国が全原発を対象にストレステスト(耐性試験)を実施すると発表し、玄海原発の運転再開先送りが確実になったことと、九電の「やらせメール」問題が発覚したためで、岸本町長は「作業をやり直したい」と語った。【原田哲郎】

 6月26日にケーブルテレビなどで放送された国の説明番組で、再開を支持するメールを子会社などに送るよう九電が依頼した「やらせメール」問題。岸本町長は「原発事故を起こさないようヒューマンエラー防止を求めていたが、正にそこに触れる問題」などと述べ、了承撤回理由の一つになったことを強調した。

 また、ストレステストについては「菅直人首相からストレステストを再開の前提とするとの発表があったから」と語った。

 午前11時から開く町議会で撤回について同意を求めた。午後に九電に伝えた。

 岸本町長は今月4日、九電の眞部(まなべ)利應(としお)社長に運転再開了承を伝え、同原発の2、3号機が福島原発事故後、全国初の再稼働となる可能性が高まっていた。

毎日新聞(7/7)

海江田大臣や県知事、町長さんたちがずいぶん感情を高ぶらせているようです。
でも、この反応の仕方は明らかにおかしい。
大臣、知事、町長はそれぞれ独立した視点で現状を精査して、原発が安全だと確認し再稼働しても良いと判断していたはずなのです(県は最終決定したわけではありませんがその方向のコメントを出していました)。
そこに新たな検査手法が持ち上がったとしても、何の問題もないはずです。だって『安全を確認』しているんだもの。角度を変えて検査を繰り返したって、安全だという検査結果になることを確信できるはずです。
「追加検査大いに結構、でも現時点で再稼働可能という私の意見は揺らぎませんよ」と受け流せるはずでしょ。

結局、これまで言っていたことがうそ八百だったということです。
(安全と考えることが変なのは以前の記事『安全確認とは何か?』に書いたとおり。)

憤慨した表情でインタビューを受けてなんとなく同情を集めている面々は、安全性の精査など脇に置いて、×月×日から原発を再稼働させるにはどのきっかけで「安全だ」と声を張り上げて踊り始めれば良いかと考えてシナリオを練り上げ、それに沿って本番の演技を始めたところで、「タイミングが違う!」と台本が破棄されてしまったため大混乱に陥っているのです。
あの町長さんは正直ですね。思わず「はしごを外された」と口走っていました。

電力需給だとか自治体の財布が干上がってしまうとか、それぞれに心配事があるのでしょう。
でもそれならなおのこと、「リスクは小さくベネフィットは巨大だ。ローリスク・ハイリターンだ」と正直に言わなくっちゃだめですよ。それで地域住民や国民が納得しないのならば、別の道をみんなで協力して探すしかないでしょう。
「なにやらよくわからんけどとにかく安全だ」と言って、なし崩し的に前へ進むととてつもなく痛い目に遭うということをついこの間経験したばかりじゃないですか。
このまま坂を転がり出せばやがて、「ヒビ割れはなかったことにしよう」とか「断層は確認できていないことにしよう」とか「巨大な地震は起きるはずがないことにしよう」とか「電源が無くなるなんて考えなくても良いことにしよう」と『安全だ』という言葉だけを守る行為が陰で行われ、一方で「リスクがゼロでなければ暮らしていけない」と夢うつつのセリフを吐く人が再生産されてしまいます。

経産大臣の宣言する『安全確認』などまゆつば物で、安全だと言い張ることにして転がりだそうとしているんだなと、マスメディアや国民の多くは気付いていたはずです。
それにもかかわらず今に至っても「リスクを最小化するには何をすればよいか(*)」という視点はそっちのけで、混乱の元凶は誰かとか誰々が気分を害しているなどと囃したてるのに夢中です。
懲りない面々が闊歩するこの国の現状を打開するにはどうすればいいのでしょう?

*:完全な安全=ゼロリスクなんてありえません。常に安全を高めようと努めることが必要。


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