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ひとつの節目に [社会]

この国の『痴』的水準はどんどん高まるばかりだとあきれてしまって、ここに何か書く意欲も無くなっていたが、これまで言っていた事に関して一定の区切りと思えるニュースなので記しておきたい。

 石巻の仮設炉で火納め式 県内災害廃棄物焼却処理が完了

 東日本大震災によって宮城県内で発生した災害廃棄物の焼却処理が完了し、県内最後の稼働施設となっていた宮城県石巻市潮見町の仮設焼却炉で18日、火納め式があった。被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県で災害廃棄物の焼却が終わるのは初めて。
 県沿岸部の15市町で生じた災害廃棄物と津波堆積物の総量は推計で約1870万トン。県は12市町から処理を受託し、2012年3月以降、9カ所に仮設焼却炉を整備するなどして作業を進めた。
 県内で焼却処理された可燃物の災害廃棄物は、市町の独自処理を合わせて約170万トン。宮城県石巻市の焼却炉では12年5月から今月までの21カ月間で約57万トンを処理した。
 県は今後、焼却灰の埋め立てなど最終処分を進め、全ての災害廃棄物の処理を本年度末までに完了させる。石巻市の仮設焼却炉は夏ごろまでに解体・撤去了する方針。
 式には井上信治環境副大臣や若生正博副知事、地元の首長、広域処理に協力した東京都や北九州市の幹部ら約300人が出席。会場には焼却炉内を映し出すモニターが用意され、関係者が合図と同時にボタンを押し、燃焼バーナーを止めた。
 若生副知事は「焼却処理の終了は復旧から復興へと向かう区切り。今後は被災者の生活支援や新しいまちづくりなどの取り組みを加速させる」と述べた。

(河北新報 2014.1.19)

「がれきを焼却するな!」と、一時はあれほど騒々しかった人たちもここ一年ほどはすっかり静かになっていたから、「焼却はまだ続いていたの」と意外に思う人もいるかもしれない。
そう、あの人たちは「自分の近くで燃やすな!」と言っていただけで、東北で燃やすのなら無関心なんです。

いろんな人がいましたね。
「こっちで焼却すると住民が危険にさらされるが、岩手・宮城には危険の及ぶ住民がいないんだ」と豪語する人がいたり、「大阪で焼却が始まったから心臓がひっくり返った」と大ボラを吹いて国会議員に登りつめる人がいたり。

社民党なんか現時点でも自らのウェブサイトにこんな文章を載せてますよ。

 震災廃棄物(瓦礫)の広域処理問題についての論点整理

 『「受け入れ反対」のためにリスクを誇張し歪めるような主張は、問題の解決につながらないばかりか、被災地への差別にもつながりかねず…』
なんて記述もありつつ
『(がれき焼却は危険なので)仮設焼却施設の増設等、現地処理の加速化をさらに追求すべきだ。』
と言うのだから、党の政策として被災地差別を推進する意思表示なのだろう。

当時の政府がこの件にまともな対処できなかったあおりで、放射性物質の多い廃棄物の処理は混迷を極めている。

 指定廃棄物最終処分場候補に栗原、大和、加美 環境省提示

 東京電力福島第1原発事故によって宮城県内で発生した指定廃棄物(放射性セシウム1キログラム当たり8000ベクレル超)の最終処分場に関し、環境省は20日、建設候補地として、栗原市、大和町、加美町の国有地を正式に提示した。今後数カ月かけて地盤や地質を詳しく調査し、最終候補地を1カ所に絞り込む。候補地周辺で風評被害への懸念が強まるのは必至で、地元の理解を得られるかどうかが焦点になる。

 環境省は県と35市町村の首長らの会議を仙台市で開き、選定経過を説明した。栗原市の候補地は市北西部の深山嶽地区で面積24.4ヘクタール、大和町は町北部の下原地区で9.3ヘクタール、加美町は町西部の田代岳地区で7.9ヘクタール。いずれも山間部で最も近い集落でも2キロ以上離れている。
 国が最終処分場の建設を目指す宮城、茨城、群馬、栃木、千葉5県で候補地を提示するのは自公政権になって初めて。
 同省によると、候補地は地滑りなど自然災害の恐れがある地域や、年間客数50万人以上の観光地周辺などを除いた国有地と県有地から検討。必要面積2.5ヘクタールを確保できる17カ所を抽出した。集落や水源との距離、自然植生の少なさなどを評価して3カ所を選んだ。
 井上信治環境副大臣は会議後、「候補地の自治体には大きな負担となるが、詳細調査に向けて住民の理解を得られるよう最大限努力したい」と述べた。建設地となる自治体に対しては地域振興策を打ち出す方針も表明し、道路整備や公共施設整備などを示した。
 3市町長からは反発の声が上がった。猪股洋文加美町長は「机上の議論と実情は異なる。地域特性を踏まえないままでは前に進まない。このままでは町として協力はできない」と述べた。
 井上副大臣は21日、村井嘉浩知事とともに3市町を訪問し協力を求める。村井知事は「どこに建設する場合でも、住民から大きな反対の声が出るのは当然だ。理解を得られるよう県としても努力する」と述べた。

(河北新報 2014.1.21)

 そりゃそうだ。
『がれき受け入れ拒否』に一定の存在を認めた世の中で、指定廃棄物の持ち込みを認める決断が出来る首長は少ないだろう。
袋に詰めて半分野外のような所に積み置く現状よりも、コンクリートで囲った場所に埋めてしまう方がいいとは誰もが考えているのだろうが、施設建設が決まればその地域の産品が危険だとはしゃぎ回る輩が必ず出てくるだろうし…。
費用は増大するが、県内で1カ所といわずに各市町村ごとに施設を作るくらいのことを計画して「あなたの身近な物を処分するのに必要な施設です」と説得するのも一案かもしれない(環境省の手間が膨大になるのでやりたくないだろうな)。

この記事にも書かれているとおり、宮城では少し動き出した懸案だが他の4県では手詰まり状態が続いているらしい。
中には県のレベルで「そんな物は東北へ運び出すべきだ」と主張しているところもあるのだとか。元はあなたたちの身辺のゴミやら下水やらの成れの果てなんですけどね。
「がれきエンガチョ!」と叫んだ男が国会議員に選ばれる世間だから、人気稼業の知事さんも同じ方向にがんばってしまうのかもしれない。
とにかく国の計画とは異なる方向を目指しているのだから、その県で生じた廃棄物をなぜ東北へ移動させるべきなのかを東北の地権者や住民に説明して理解を求めないと知事の責任を果たせないのではないだろうか。


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